
「リラ」は、その繊細な美しさと芳醇な香りで多くのバラ愛好家を魅了する品種のひとつです。
しかし、そんな魅力あふれるリラにもいくつかの弱点があり、人によっていは欠点と感じる点があるのも事実です。
この記事では、「リラの欠点とは?」と疑問を抱く方に向けて、育てる上での注意点や特性などの観点から欠点としてあげられる点を説明して、初心者にはリラは難しいのか解説していきます。
まず、リラの基本的な特徴としてダマスクをベースとした上品で爽やかな香りや繊細な花姿、花もちは良いのかなどを紹介します。
育て方においては、肥料や環境、日陰でも育てることはできるのか、剪定の必要性としないとどうなるかについて解説。
また、リラの大苗から育てるメリットと注意点、挿し木にチャレンジする方に向けた成功率や注意点、夏場の管理と灰色カビ病の対策についても触れていきます。
リラの栽培を検討している方へ向けた、その魅力と欠点について理解を深めることができる内容です。
ぜひ最後までご覧ください。
バラ・リラに欠点はある?特徴や魅力を解説
- リラの特徴
- リラの栽培は難しい?
- 一番香りが強いバラとリラの香りを比較
- リラの花持ちは?どのくらい楽しめる?
- リラの欠点とは?初心者が注意すべき点
リラの特徴

リラは、2020年に作出された比較的新しい品種で、耐病害虫性が高く暑さにも比較的強いので、初心者でもかなり育てやすいバラです。
バラの中でも特にエレガントな印象を与える品種として知られています。
淡く優しい紫色の花びらが特徴で、咲き始めはやや青みを帯びた色合いを見せ、時間の経過とともに柔らかなピンクやラベンダー色に変化していきます。
四季咲き性を持ち、春から秋にかけて繰り返し花を咲かせることができます。
中輪でカップ咲きのかわいらしい花姿で、カップ咲き品種では数が少なく貴重なブルー系の花色の品種です。
花付きも比較的良いので庭やベランダでも見栄えのするバラとして人気があります。
樹勢は普通の木立タイプで、樹高は60~90cmとコンパクトなので、栽培スペースが限られている方でも育てやすく、地植えと鉢植えどちらでも栽培可能です。
庭で育てる際は前方に植えるのがレイアウト上おすすめです。
前述の通り、耐病性があるので薬剤散布をしなくても栽培可能な丈夫な品種です。
害虫が発生した時のみ殺虫剤を使用するか、冬と夏の剪定後と春と秋の開花後すぐに薬剤散布を施す程度で十分です。
このように、リラという品種は優雅で繊細な見た目とは対照的に、耐病性がありそこまで手をかけなくても美しい花を咲かせることが出来る初心者にも優しい品種です。
バラは手がかかり、育てるのが難しいという昔の常識を超えた、希望あふれる品種として多くのバラ愛好家に愛される存在になっています。
リラの栽培は難しい?

前述の通り、リラは初心者向けの育てやすい品種とされています。
その主な理由は、リラが持つ優れた耐病性にあります。
特に黒星病に強く葉が落ちにくいのが特徴で、うどんこ病にも比較的強いため日頃からの丁寧な手入れと観察をしていれば定期的な薬剤散布が無くても育てられます。
気候によっては黒星病が出ることもあるので、心配な場合は月に1度の薬剤散布を行いましょう。
さらに害虫にも強いので、目視で害虫を発見したら駆除したり、殺虫剤を施す程度で十分育てられるのも初心者が育てやすいポイントです。
また、リラは病気に強く花つきも良い品種のため、肥料をあまり必要としない点も育てやすいといわれるポイントです。
肥料が多すぎると花が綺麗に咲かず、花色がグレーにぼけてしまうこともあります。
このように、リラはバラの栽培経験が浅い方でも比較的簡単に育てられる品種であり、育てるのは難しくないバラです。
正しい育て方を理解し、適切な管理を行えば、しっかりと綺麗な花を咲かせることができるでしょう。
初めてバラを育てる方にも挑戦しやすい品種なので、ぜひ挑戦してみることをおすすめします。
一番香りが強いバラとリラの香りを比較

バラの香りは品種によって大きく異なり、「一番香りが強いバラ」といわれる代表的な品種には、ダマスク系のオールドローズやイングリッシュローズなどがあります。
特に「ダマスクローズ」は、その豊かな香りで広く知られています。
こうした品種は、香水の原料にも使われるほどで、花の美しさだけでなく香りそのものも高く評価されています。
それでは、リラの香りはどうなのでしょうか。
リラの香りは「中香」に分類され、強さはという点では前述のような代表的な香りのバラに比べるとやや控えめな傾向にあります。
ただし、中香の中でも比較的香りは強く、品のある甘さと優しさが心地よい印象を与えてくれる、一度体験したら忘れられないほど魅力的な香りともいわれています。
リラは前述のダマスクローズの香りに、上品な紅茶のような「ティー」の香りと、ハーブのような「グリーン」の香りが加わった、爽やかで上品な香りが特徴です。
エレガントで魅力的な花姿と初心者にも育てやすい耐病性、そこに印象的な素晴らしい香りを兼ね備えた品種はとても貴重で、リラの長所といえます。
このような点から、リラは「香りを楽しみたい」という方からも人気が高い品種で、育てやすさも兼ね備えた奇跡の品種といわれています。
香り重視で育てるのが難しい品種に挑戦するよりも、全体的なバランスの良いバラを育てたい方に、リラはぴったりの品種といえるでしょう。
リラの花持ちは?どのくらい楽しめる?

リラの花は、咲いた瞬間の華やかさが目を引く、美しさと儚さを兼ね備えた存在です。
一般的に、リラの花は開花から7日から9日程度が見ごろで、花もちは比較的良い品種です。
しかし、雨風や高温の影響を受けやすく、屋外で雨風にあたると特に花弁が傷みやすくなる点は注意が必要です。
このため、リラを長く楽しむには、咲き始めのタイミングを見極めて、こまめに観賞することが大切です。
例えば、庭に植えている場合は、毎朝様子を見る習慣をつけることで、最も美しい瞬間を見逃さずに済みます。
また、切り花にする場合でも水揚げが難しく、花瓶に生けた後も2〜3日で萎れてしまうケースが多く見られます。
こうした特徴を理解したうえで、リラの花を楽しむためには、開花期を正しく予測し、手入れや環境に気を配る必要があります。
直射日光や強風を避け、風通しがよく涼しい場所で育てることで、花持ちを少しでも延ばすことが可能です。
咲いたあとの花がら摘みを怠ると、株に負担がかかるので、花後の処理もこまめに行うことが推奨されます。
このように、リラは他のバラと比べて花持ちはやや長めではありますが、その美しさを最大限に味わうための工夫も楽しみの一つともいえるでしょう。
リラの欠点とは?初心者が注意すべき点

リラは初心者にも育てやすいバラですが、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。
まず、リラの特徴として初期成育が遅いことがあげられます。
バラはある程度株を大きくしてから花を育てるのがセオリーで、始めに花をたくさん咲かせてしますと株を大きくする方に栄養が回らず、小さな株のまま成長が止まってしまいます。
特に新苗から育てる場合は、初年度は蕾が大きくなる前にソフトピンチをこまめに行い、株を大きくする方に集中しましょう。
リラはじっくり育てるタイプのバラであり、通常のバラは成木になるまでに3年ほどかかりますがリラはそれ以上かかります。
特に初期育成にはある程度の時間が必要だという点を理解しておくことが大切です。
この点を欠点と感じる方がいるかもしれません。
次に、雨に弱い点に注意が必要です。
梅雨の時期などに強い雨に長く当ててしまうと病害虫の被害を受けやすくなり、特に灰色かび病にかかりやすくなるので注意が必要です。
雨の時は軒下に移動できるよう、鉢植えで育てるのが初心者には安全かもしれません。
灰色カビ病の対策については後のセクションで詳しく解説します。
さらに、リラなどの花付きが比較的良い品種は、肥料を与えすぎると蕾が硬くなって咲かなくなる「ボーリング」になりやすくなります。
肥料はやや少なめにして、冬と夏の剪定後や開花前後などの決まった時期に与えましょう。
また、窒素の成分が多い肥料は、うどんこ病や害虫の被害が出やすくなるので注意しましょう。
このようにリラの特性上、弱点や欠点と感じられる点がいくつかあります。
しかし、注意点を押さえて丁寧に管理すれば、初心者でも簡単に魅力的な花を楽しむことができます。
育てるのが比較的簡単だからと油断せずに、事前にしっかりと育て方を学んでから取り組むとよいでしょう。
下記の「バラ・ダフネに欠点はある?仕立て方や育て方の観点から解説!」の記事では、同じく日本で作出された人気の高い品種「ダフネ」について解説しています。
興味のある方はぜひ合わせてご覧ください。
バラ・リラの欠点とは?育てる際の注意点
- リラの育て方
- 大苗の育て方と注意点
- 剪定の必要性とは?しないとどうなる?
- 日陰ではどうなる?日照条件の影響
- リラの挿し木の成功率と注意点
- 夏の管理がカギ!多湿による灰色かび病対策
リラの育て方

リラを美しく育てるためには、環境づくりと日々の管理がとても重要です。
まず植え場所については、日当たりと風通しの良い場所を選びましょう。
リラは日光を好むため、午前中にしっかりと日が当たる場所で育てることで、株全体が健康に成長しやすくなります。
ただし、西日の強すぎる場所では葉が傷みやすいため、午後は少し陰になるような場所が理想です。
土壌は水はけの良い肥沃な土が適しています。
市販のバラ用培養土を利用すれば失敗が少なく、初心者でも安心です。
鉢植えの場合は、鉢底に軽石を敷いて排水性を確保することが大切です。
庭植えの場合でも、腐葉土や堆肥を混ぜて土壌を改良すると、根の張りが良くなります。
水やりは、庭植えの場合は基本的に雨任せでも問題ありませんが、鉢植えでは春から秋の生育期は表面の土が乾いたタイミングでたっぷりと与えましょう。
ただし、過湿には弱いため、水を与えすぎないように注意が必要です。
特に梅雨時期や雨が続いた場合は、水はけを確保し、株元が蒸れないように工夫しましょう。
鉢植えやプランターの場合は、強い雨が続く際、軒下などに避難させると花が下を向いたり、花弁が散ったりするのを防ぐことができます。
肥料は、基本的に少なめに与えます。
特に春は過肥で花の水分が多くなり、花弁が痛みやすくなったり雨によって灰色カビ病になりやすくなるので、冬から一番花までの期間は特に肥料は少なめにしましょう。
生育期は既定の量で問題ありませんが、気温が低くなると生育が遅くなるので春や秋の肥料は少なめにしましょう。
株が充実するにつれて花付きもよくなりますが、急に大量の肥料を与えると根が傷むこともあるため、規定量を守ることが重要です。
また、病害虫への予防も欠かせません。特にうどんこ病やアブラムシには注意が必要で、葉や茎に異常が見られたら早めの対処が求められます。
日々の観察を習慣づけることが、リラを健康に保つ秘訣です。
このように、リラの育て方は繊細な部分もありますが、基本をしっかり守れば初心者でも育てられます。
日々の手入れを通じて、季節ごとに咲く美しい花を楽しんでみてください。
大苗の育て方と注意点

大苗とは、1年以上育てられた状態で販売されるバラ苗のことで、植え付けから比較的短期間で花を楽しめるという利点があり、初心者の方に特におすすめです。
しかし、その分だけ植え付け直後の管理には細かな注意が必要です。
大苗はすでにある程度育っている分、植え替え時に根を傷めやすく、根付くまでの管理が甘いと急激に弱ってしまうこともあります。
植え付けは、寒冷地でなければ秋が理想です。
気温が安定しており、根の成長に適しているため、春には元気な芽を出しやすくなります。
植え付け時には、根鉢を軽く崩して土とよくなじませ、根が広がりやすいように調整します。
深植えには注意が必要で、接ぎ木部分が地面より少し上になるようにするのが基本です。
水やりについては、植え付け直後は特に乾燥させないようにこまめに行いますが、その後は乾いていたらたっぷり与えるのが基本です。
剪定に関しては、植え付けから2~3年は浅めの剪定が効果的です。
また、初期の頃は特に花つきが良く新芽が出る力が強いため、繰り返し花が咲いてしまうことが多いですが、花芽はこまめに剪定して株の成長に栄養を優先させることが大切です。
花を咲かせることにエネルギーを使ってしまうと、根が十分に張らず、結果的にその後の生育に悪影響が出ることがあります。
このような管理を怠らずに行えば、大苗はスムーズに環境に馴染み、翌年以降も安定した生育が期待できます。
手間はかかりますが、その分しっかり育てば、華やかな花を長く楽しめるという魅力も大きいのです。
剪定の必要性とは?しないとどうなる?

リラに限らず、バラを美しく育てるには剪定が欠かせません。
剪定は単に形を整えるだけでなく、花の咲き方や株の健康にも大きく影響する作業です。
もし剪定を行わないままでいると、枝が混み合い、風通しが悪くなって病害虫の発生リスクが高まります。
特にリラは枝が細く繊細なため、枝同士が絡まりやすく、そのままにしておくと日光が十分に当たらず、花付きが悪くなることがあります。
また、古い枝を放置すると栄養が分散し、株全体のバランスも崩れてしまいます。
枝数が増えるほど花も多くなるように思われがちですが、実際には逆効果となることも多く、結果的に花の質が下がる傾向にあります。
剪定のタイミングとしては、冬の休眠期(1月〜2月頃)と花後の軽い剪定(5月〜6月頃)の2回が基本です。
冬の剪定では弱剪定~中剪定を行い、古い枝や細い枝を切り落として、しっかりとした太さの枝まで切り戻すのが大切です。
株の中心に光と風が届くように整えます。
一方、花後は浅い剪定で問題なく、咲き終わった花がらと、必要に応じて徒長枝を切り戻し、次の開花に備えます。
初心者の方にとって剪定はややハードルが高く感じられるかもしれませんが、剪定を避けてしまうと結果的に株が弱り、花が咲かなくなるリスクもあります。
最初は基本の切り方だけでも構わないので、少しずつ経験を積んでいくことが大切です。
こうした管理をしっかり行えば、リラは毎年美しい花を咲かせてくれるようになります。
剪定は、健康で美しいリラを育てるうえで欠かせないステップといえるでしょう。
日陰ではどうなる?日照条件の影響

リラは日照を好む品種であり、日光が不足すると健やかな成長が妨げられることがあります。
日陰の場所で育てるとどうなるかというと、まず第一に、花付きが極端に悪くなる傾向があります。
花芽の形成には十分な日照時間が必要で、日陰では蕾の数が少なくなるだけでなく、咲いたとしても小ぶりで色がぼやけてしまうことも少なくありません。
また、光合成が不十分になると、葉の色が薄くなり、株全体の活力が落ちてしまいます。
その結果として、病気への抵抗力も下がりやすく、うどんこ病や黒星病などのトラブルが発生しやすくなるのです。
さらに、枝が徒長してヒョロヒョロと間延びしたような姿になり、全体の樹形が乱れてしまうこともあります。
こうした問題を防ぐためには、午前中に4時間以上しっかりと日が当たる場所に植えるのが望ましいでしょう。
特に春から初夏にかけての日照が重要で、日光を浴びることでリラ本来の香りと美しい花色が引き出されます。
どうしても日陰しかない場所で育てたい場合は、鉢植えにして季節や時間帯に応じて移動させる工夫も有効です。
もしくは、日当たりの悪さを補うために、風通しを良くして病気の予防に力を入れる必要があります。
このように、日陰で育てることはリラにとって大きな負担となるため、できる限り日光を取り入れられる環境を整えることが、健やかな生育と美しい花を咲かせるカギになります。
リラの挿し木の成功率と注意点

リラの挿し木は決して不可能ではありませんが、柔らかく発根しやすい挿し穂を確保するのが難しく成功率もそれほど高くないため、初心者にはやや難易度の高い方法といえます。
成功率を上げるには、適切な時期と方法が重要です。
挿し木に適しているのは、5月下旬から6月上旬、あるいは9月上旬の気温が安定した時期です。
このときに、病気のない元気な枝を使い、節の下で斜めにカットして使用します。
使用する用土は清潔で排水性の良い赤玉土や鹿沼土が最適で、雑菌の少ない環境を整えることが大切です。
さらに、発根促進剤の使用や、湿度管理にも気を配りましょう。
葉からの蒸散を防ぐために葉を半分に切る、ビニールで覆って簡易温室を作るといった工夫も有効です。
ただし、風通しを確保しないとカビが発生しやすいため、日々の観察が欠かせません。
また、挿し木で増やした苗は、接ぎ木苗と比べて耐病性や成長スピードで劣る傾向があります。
発根後も過保護にせず、徐々に日光に慣らし、定期的な水やりと追肥を行うことで、しっかりと根を張った苗に育てることができます。
このように、リラの挿し木はコツと手間が必要ですが、成功すれば自分で増やした苗に花を咲かせる楽しみもひとしおです。
数本まとめて試してみるなど、成功率を考慮した工夫が求められます。
夏の管理がカギ!多湿による灰色かび病対策

リラを夏に元気に育てるためには、多湿による病気への対策が欠かせません。
中でも特に注意したいのが「灰色かび病(ボトリチス病)」です。
この病気は高温多湿の環境で発生しやすく、花や蕾、葉に灰色のカビが広がってしまう恐れがあります。
感染が進むと、せっかくの花が咲かずに枯れてしまうこともあるため、夏の管理が非常に重要です。
まず大切なのは、風通しを確保することです。
枝葉が密集していると湿気がこもり、カビが発生しやすくなります。
そのため、不要な枝や混み合った部分は早めに剪定し、株の内部まで風が通るように整えましょう。
特に梅雨明けのタイミングで軽く剪定を行うと、その後の夏越しがスムーズになります。
また、水やりは朝の早い時間に行い、株元だけに与えるのが基本です。
葉や蕾に水がかかると、そこから菌が繁殖する原因になるため、ホースやジョウロの使い方にも気をつけましょう。
夕方以降の水やりは夜間の湿度を上げてしまうため、避けることが賢明です。
さらに、咲き終わった花がらは放置せず、すぐに取り除くようにしてください。
腐敗した部分に病原菌が付きやすいため、日々のこまめなチェックが病気の予防につながります。
必要に応じて、植物用の殺菌剤を使用するのも一つの手です。
このように、リラを夏に健康に保つには、湿度管理と清潔な環境づくりがカギとなります。
花を長く楽しむためにも、夏の間は特に注意深く育てることが求められます。