
バラ「ダフネ」は、その美しい花姿と甘く上品な香りで、多くのバラ愛好家に選ばれている人気品種です。
比較的育てやすく、その見事な花姿から一度見たら忘れられないともいわれるバラ、ダフネですが欠点はあるのでしょうか?
この記事では、ダフネの特徴や香りの魅力といった基本的な情報から、実際の育て方や仕立て方、病気対策に至るまで、初めて育てる方にもわかりやすく丁寧に解説していきます。
特に注目したいのが、ダフネの鉢植えでの栽培や、日当たりに不安のある方に向けたダフネの日陰での管理方法、さらにはダフネのフェンスへの誘引についてなど、実際のガーデニングでの実践的なアドバイスです。
また、ダフネのうどんこ病への対処法、一番強いバラといわれる品種との比較なども取り上げながら、ダフネのメリットとデメリットの両方に目を向けていきます。
さらに、ダフネをアーチ仕立てにしたい方に向けて、バラのアーチは何年かかるかといった長期的な育成計画についても触れており、初心者から経験者まで参考になる内容となっています。
どんなに魅力的なバラでも、栽培における注意点や品種特有の弱点は存在します。
この記事を通じて、ダフネの欠点をしっかりと把握した上で、人気といわれる魅力やその美点も理解し、バラ栽培の楽しさをより深めていただければ幸いです。
バラ・ダフネに欠点はある?特徴と魅力を解説
- ダフネの特徴
- ダフネの香りと魅力
- ダフネは鉢植え向き?
- ダフネはうどんこ病に要注意
- 一番強いバラとの比較
ダフネの特徴

バラ「ダフネ」は、2014年に作出された比較的新しい品種でありながら、すでに多くのバラ愛好家から注目を集めています。
その大きな理由の一つに、優れた花付きの良さと整った樹形があります。
花は中輪房咲きで、一斉に咲く姿は非常に華やかで、庭全体に明るい印象を与えてくれます。
淡いサーモンピンクの花色も上品で、派手すぎず、それでいてしっかりと存在感があります。
特につる状に誘引すると、より多くの花をつけるためダフネの良さを最大限生かすことができます。
また、ダフネ特有の性質として、花色の変化があります。
軒下などで雨に当てずに育てれば、淡いピンクからクリーム色、淡いグリーン色と花の色が変わっていきます。
この花色が移ろう特徴が、ギリシャ神話の精霊「ダフネ」が、神である「アポロン」に想いを寄せられ、答えられずに月桂樹に姿を変えたという姿を思わせることから、品種名の由来にもなっています。
ダフネは繰り返し咲きの性質です。
四季咲き性が強く、春から秋まで何度も開花を楽しめるため、長期間にわたって観賞できます。
また、花もちも非常によく、雨が多く降らなければ開花後2〜3週間ほど花を楽しむことができます。
この点は、ガーデニング初心者や花もち重視の方にとっても大きなメリットといえるでしょう。
さらに、ダフネは枝が横ばいによく分枝し、株がまとまりやすいため、剪定によって様々な形に仕立てやすいのも魅力です。
樹高は1.5~2mほどで少し高めの木立タイプとして育てることもできますし、伸びた枝を冬に剪定、誘引すれば先述の通りつるバラとして楽しむことも可能です。
こうして、見た目の美しさと育てやすさのバランスがとれたダフネは、多様なガーデンスタイルに適応できるバラといえます。
ダフネの香りと魅力

ダフネの魅力の中でも、多くの人が惹かれるのがその香りです。
香りの強さは中程度な「中香」で、タイプは紅茶のような香りのティー系に分類されます。
そこにクローブのようなスパイス系の香りが混ざった、やや強めの上品で優雅な香りが特徴的です。
特に風が通る場所ではふんわりと香りが漂い、リラックス効果を感じさせるといわれるほどです。
このように香りがはっきりしているので見た目だけでなく、香りでも楽しめる点がダフネの大きな特徴であり、他の品種との差別化にもつながっています。
ガーデンに彩りと香りの両方を取り入れたい方にとって、ダフネは非常に魅力的な選択肢になるでしょう。
ただし、香りの感じ方には個人差があり、すべての人が同じ印象を受けるわけではありません。
また、気温や時間帯によっても香りの強さが変わるため、花の近くに寄って楽しむことで、よりしっかりと香りを味わえます。
視覚と嗅覚の両方を刺激するダフネは、庭に「五感で楽しむバラ」を求める方にぴったりです。
ダフネは鉢植え向き?

ダフネの花付きの良さを生かすには、フェンスなどへの誘引し、つるバラとして育てた方がより多くの花を楽しむことができますが、初心者の方や誘引のスペースが無いという方は、鉢植えでも十分に楽します。
株が比較的まとまりやすく、剪定を行えば枝も暴れにくいため、限られたスペースでも育てやすいという点が理由のひとつです。
特にベランダや玄関先など、庭を持たない方でも育成可能な点は、大きなメリットです。
これを可能にしているのは、ダフネの四季咲き性と樹形の安定性です。
鉢植えでも大きく花数が減ることなく、春から秋にかけて継続的に花を咲かせてくれます。
また、花の重さで枝が垂れることも少ないため、見た目にも整った印象を保ちやすいのが特長です。
樹高が1.5〜2mと比較的大きい品種なので、鉢植えは8号や10号など大きいものを選んだ方が、品種本来の樹形を楽しむことができます。
ただし、鉢植えで育てる場合は、水やりや肥料管理に注意が必要です。
鉢は地植えよりも乾きやすいため、特に夏場は土が乾いていないかしっかり確認しましょう。
また、根が限られたスペースにとどまるため、定期的な植え替えや土の入れ替えも重要になります。
このように、手入れに少し手間はかかるものの、正しく育てれば鉢でも十分にダフネの魅力を楽しめます。
特に日照条件の良い場所を選ぶことで、花付きや香りの面でも満足度が高くなるでしょう。
ダフネはうどんこ病に要注意

ダフネは比較的丈夫で無農薬でも育つ品種です。
特に黒星病には強く、葉を落としてしまってもすぐに回復して枝葉を伸ばしていきます。
一方で、うどんこ病にはやや弱い傾向があり、湿度の高い場所では注意が必要です。
この病気はバラ全般によく見られるもので、葉や茎に白い粉のようなカビが付着し、光合成の妨げとなって植物の生育に悪影響を与えます。
この病気が発生しやすい条件は、風通しが悪く湿度が高い環境です。
ダフネは比較的枝が混みやすいため、剪定を怠ると風の通り道が確保できず、病気の温床になりやすくなります。
このため、風通しのよい場所を選んで植え、枝の間引きを定期的に行い、株全体の通気性を保つことが予防の第一歩となります。
日頃からの予防と早期対策が重要になります。
また発症を防ぐためには、葉に水がかからないように根元から水やりを行うことや、月1回を目安に定期的な薬剤散布を行うことも有効です。
病気が確認された場合は、早めに感染部分を切除し、症状の広がりを食い止める必要があります。
これを怠ると、周囲のバラや植物にも感染するおそれがあります。
うどんこ病の対策は、育て始めた初期から継続して取り組むことが求められます。
見た目の美しさを保つためにも、病気への意識は常に持っておきたいところです。
一番強いバラとの比較

バラの中でも「強さ」に注目して品種を選ぶ方は多くいますが、一番強いバラと言われることが多いのが「ラ・ローズ・ドゥ・モリナール」です。
ラ・ローズ・ドゥ・モリナールは、フランスのバラ育種会社「デルバール社」によって生み出されたシュラブ系バラの一つで、耐病性と芳香性の両方を兼ね備えたことで知られています。
バラ栽培の経験が浅い人でも育てやすいことから、「一番強いバラ」と称されることもあります。
その魅力は、見た目の華やかさだけでなく、病害虫への強さや環境への適応力にも表れています。
特にバラ栽培で悩まされがちなうどんこ病や黒星病に非常に強いため、農薬の使用を最小限に抑えながら美しく育てることができます。
さらに、半日陰でもある程度花を咲かせる性質があるため、日照条件が限られた場所でも育成可能です。
もちろん、日当たりが良い場所の方がより充実した花を楽しめますが、環境への対応力が高い点は、多くのガーデナーにとって頼もしい要素です。
一方、ダフネは見た目や香りの面では非常に魅力的なバラですが、耐病性ではやや繊細な面があり、育て方に一定の知識と慎重な管理が必要です。
ただし、強いバラが必ずしも美しいとは限りません。
ダフネはその洗練された花姿と芳香で、強健種にはない魅力を持っています。
つまり、育てやすさだけを重視するのではなく、「どんなバラを育てたいのか」という目的に合わせて選ぶことが大切です。
バラ・ダフネの欠点とは?育て方と仕立て方から総括
- ダフネの育て方の基本
- ダフネは日陰でも育つ?
- ダフネのフェンスへの誘引方法
- ダフネの仕立て方とコツ
- バラのアーチは何年かかる?
- ダフネの欠点とは?
ダフネの育て方の基本

ダフネを健やかに育てるためには、日当たり・水やり・剪定といった基本の管理が重要になります。
まず、植え付ける場所は日当たりと風通しの良い場所を選びましょう。
日照が不足すると花つきが悪くなるだけでなく、病気にもかかりやすくなります。特に午前中にしっかりと光が当たる場所が理想的です。
水やりに関しては、地植えであれば基本的に自然の雨で賄えますが、乾燥が続く場合は根元にたっぷりと水を与えるようにします。
鉢植えの場合は土の乾き具合を見ながら、朝または夕方にしっかりと水を与えるのがポイントです。
葉に水をかけると病気の原因になるため、根元から静かに注ぐようにしましょう。
剪定も忘れてはいけません。
ダフネは樹勢が強く枝がよく伸びるため、放置していると樹形が乱れやすくなります。
夏剪定は8月後半の早めの時期に行いましょう。
また春と秋の開花後には必要であれば軽く剪定し、風通しと日当たりを確保することが重要です。
また、古くなった枝や細い枝は切り戻すことで、新しい枝の発生を促し、全体のバランスも整います。
また、ダフネは農薬が無くても育つ比較的丈夫な品種です。
耐病性は普通なので、不安な場合は3月~11月の生育期間に月に1回薬剤散布を行いましょう。
肥料は与えすぎなければ、少し多めに与えた方が花の数も増え、綺麗に咲きやすくなります。
花後や新芽が出る前に緩効性の肥料を与えることで、花つきや株の健康を維持できます。
こうした手間はかかりますが、その分だけ美しい花を繰り返し楽しめるのが、ダフネを育てる醍醐味です。
下記の「バラ・ガブリエルは難しい?初心者が育てるコツと注意点」記事では、上品で魅力的な花姿と世界一良い匂いともいわれる香りが特徴の「ガブリエル」という品種のバラについて解説しています。
興味のある方はぜひ合わせてご覧ください。
ダフネは日陰でも育つ?

ダフネは比較的日陰にも耐える品種とされていますが、やはりバラとしての本来の性質から見ると、十分な日照がある環境の方が健康的に育ちやすくなります。
日陰での栽培はまったく不可能ではありませんが、花付きや病気のリスクを考慮する必要があります。
半日陰程度、つまり午前中に日が差し午後は日陰になるような場所であれば、ダフネでもある程度花を楽しむことはできます。
ただし、一日中まったく日が当たらない場所では、つぼみが思うように開かず、花の数も減ってしまう傾向があります。
また、風通しが悪く湿度の高い日陰では、うどんこ病や黒星病などの病気が発生しやすくなるため注意が必要です。
このような環境で育てる場合は、こまめに剪定を行って通気性を確保し、病気の予防対策を徹底することが大切です。
また、株元を明るく保つために白い敷石や反射素材を使うなど、光を補う工夫も役立ちます。
さらに、花数が少なくなったり生育が緩慢になった場合は、肥料や剪定時期を調整してみると改善することもあります。
日陰だからとあきらめる必要はありませんが、育てやすさや開花の安定性を求めるのであれば、できる限り日当たりの良い場所で育てることをおすすめします。
ダフネのフェンスへの誘引方法

ダフネをフェンスに誘引することで、立体的なガーデンデザインを楽しむことができます。
ダフネはつるバラのように強い枝伸びはしないものの、ある程度の高さや広がりを持つため、しっかりと枝を誘導してあげることでフェンスを彩る美しい演出が可能になります。
誘引のタイミングとしては、冬の剪定後が適しています。
葉が落ちた後の枝は扱いやすく、全体の樹形を見ながらバランス良く配置しやすくなります。
まずは主枝となる太い枝を横方向に這わせるように固定しましょう。
フェンスに対して斜めまたは水平に枝を配置することで、節ごとに花芽がつきやすくなり、満開時のボリュームが出やすくなります。
枝の固定には、ソフトな園芸用ワイヤーや麻ひもを使用します。
強く締めすぎると枝を傷めてしまうため、ゆとりを持たせながら支柱やフェンスに軽く留めるのがコツです。
また、新芽が伸びてきたら、その都度軽く誘引を加えて枝の方向性を調整しましょう。
誘引作業は一度で完成させるのではなく、成長に合わせて数回に分けて行うと、自然で美しいラインを作ることができます。
こうして手をかけてあげることで、ダフネは庭のアクセントとしてさらに引き立つ存在になるはずです。
ダフネの仕立て方とコツ

ダフネはシュラブタイプとして豊かに枝を伸ばす性質があり、その仕立て方次第で見た目の印象が大きく変わるバラです。
仕立てにはいくつかの方法がありますが、鉢植えでのブッシュ仕立てや、小さなアーチ・フェンス・オベリスクに這わせるような仕立てが一般的です。
樹高は高い品種のため、自立するシュラブとして育てる場合は配置は後ろの方がおすすめ。
まず、形を整えるには剪定のタイミングが鍵になります。
花が終わった後には軽く切り戻すことで、次の花芽を促し、株の姿を整えることができます。
冬には思い切って古枝をカットすることで、新しい芽の発生が活発になります。
このとき、枝が込み合わないように内向きの枝や細い枝は剪定し、外側へ向かって広がるように整えていくのがポイントです。
また、ダフネは繰り返し咲く性質を持っているため、花がら摘みも大切な作業です。
これをこまめに行うことで、株の負担を軽減し、次の開花をスムーズに引き出せます。
さらに、肥料を切らさず与えることで花付きが安定し、美しい樹形を長期間維持できます。
このように、日々のちょっとした手入れや意識によって、ダフネの仕立てはより魅力的になります。
手間をかけた分だけ、四季折々に豊かな花と香りで応えてくれるバラです。
バラのアーチは何年かかる?

バラのアーチを完成させるには、一般的に3年から5年程度の育成期間が必要です。
これはバラの品種や植え付け時の状態、育てる環境によって変わりますが、しっかりとしたアーチ状の樹形を形成するにはそれなりの時間と手間がかかります。
特にダフネのようなシュラブ系のバラをアーチ仕立てにする場合、つるバラのような旺盛な枝伸びは期待できないため、誘引や剪定の工夫が必要になります。
成長の早い品種であれば2年ほどで小規模なアーチを形成できますが、満開時にバランスの取れた花付きとボリュームを得るには数年かけて丁寧に仕立てる必要があります。
育成初期は、まず株を充実させることに集中します。
枝数を増やし、健康な主枝を育てることが大切です。
その後、アーチに沿って枝を水平または斜めに誘引しながら、花芽をつけやすい構造にしていきます。
成長に応じて枝を入れ替えながら、全体の形を整えていくことで、年を重ねるごとに理想的なアーチが完成していきます。
このように時間はかかりますが、その過程もまたバラ育ての楽しみの一つです。
焦らず一歩ずつ積み重ねることで、季節ごとに美しく咲き誇るアーチを自分の手で作り上げることができるのです。
ダフネの欠点とは?

バラ「ダフネ」は、鮮やかなピンクの花と豊かな香りでガーデンを彩る人気品種ですが、すべてのバラに長所と短所があるように、ダフネにも注意すべき点がいくつかあります。
見た目や香りに惹かれて選ぶ前に、育てる際に直面しやすい課題を知っておくことが、後悔のないバラ選びにつながります。
今まで紹介してきたダフネの特徴もふまえて、デメリットとなるポイントを総括していきます。
まず、ダフネを栽培する際に注意する点として、花付きの良さと花後に実が付きやすい特徴があげられます。
花付きが非常に良くたくさんの花を楽しめるのはダフネのメリットの一つですが、その分花後ケアに手間がかかると言えます。
特にダフネは種を結び実を付けるのが早い品種なので、育て始めてすぐ(新苗では1~2年、大苗では1年ほど)の頃は、種を結ぶ方に栄養を取られ無いよう、花が終わった後の花後剪定は早めに行う必要があります。
次にダフネは、うどんこ病にややかかりやすい傾向があります。
特に春先や秋口の湿度が高く、風通しが悪い環境では、葉の表面に白い粉のようなカビが広がりやすくなります。
この病気は放置すると葉の光合成を妨げ、株全体の生育に影響を与えてしまいます。
予防のためには、風通しの良い場所に植えることや、前述した定期的な薬剤散布が効果的です。
また、枝の伸び方に個性があり、慣れていないと整った仕立て方が難しいと感じる方もいます。
フェンス仕立てやアーチ仕立てにするには、ほったらかしにせずこまめな剪定と誘引が必要です。
特に新苗のうちは枝が細く折れやすいため、支柱やネットなどで支える工夫が必要な場合もあります。
さらに、ダフネをアーチ仕立てにしたい場合、つるバラと比較するとそれほど成長が早いわけではないため、最低でも2~3年は見込むべきで、その間の手入れと根気が欠かせません。
適切な肥料と剪定を繰り返すことで、美しいアーチに育てることが可能になりますが、コツコツと手入れを続けていくのが苦手な方には不向きかもしれません。
加えて、ダフネは鉢植えでの栽培も可能ですが、その花付きの良さや大きい樹高を生かすためには、ある程度のスペースが必要なので地植えや大きめの鉢で育てるのがおすすめです。
よって、初心者の方や育てるスペースが無いという方は、ダフネの長所を最大限生かしにくい点も欠点と感じる方もいるかもしれません。
このように、ダフネには管理の手間、病気への対策、品種の特徴を生かす環境の整備など、いくつかの注意点があり、これらを欠点と感じる場合があります。
しかし、これらを理解した上で適切に対応すれば、他のバラにはない美しさと香りを長く楽しむことができる品種です。
育てる前にきちんと準備と理解を深めておくことが、バラ栽培を成功させる第一歩となります。
下記の「バラ・リラに欠点はある?初心者には難しいのか解説!」の記事では、同じく日本で作出された人気の高い品種「リラ」について解説しています。
興味のある方はぜひ合わせてご覧ください。